小太りな人が長生きするってホント? 体重と健康の関係とは

小太りな人が長生きするってホント? 体重と健康の関係とは

「肥満は万病のもと」、そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?確かに肥満は高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病のリスクを高め、心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる病気を引き起こす原因になることも少なくありません。しかし、近年、必ずしもぽっちゃり体型の方が短命ではないことが様々な研究で明らかになってきました。

そこで今回は、体型と寿命の関係について詳しく解説します。

「ぽっちゃり=病気になりやすい」ではない!

私たちが日ごろ、肥満の程度を表す指標としている「BMI」。体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算できるBMIの値です。「日本肥満学会肥満症診療ガイドライン2016」では18.5以上25未満を「普通体型」、25以上30未満を「軽度肥満」、30以上35未満を「肥満」とします。

しかし、日本の女性は痩せ願望が強く、モデルのように細くスリムな体型は一般的にBMIが18を下回るケースがほとんど。医学的には「普通体型」と分類されても、23~25ほどになると「ぽっちゃり体型」と思われがちです。このため、日本の女性は無理なダイエットをする方も珍しくなく、体型に対する認識の歪みがあるケースが非常に多いのです。

「ぽっちゃり=病気になりやすい」ではない!

BMI「22」が最も健康的?

30~59歳の男女5,000人を対象にした調査によると、健康診断で「異常なし」とされた人はBMIが22前後の方が最も多いことがわかりました。(※1)
一般的な健康診断で見つかる異常は、いわゆる生活習慣病がメイン。つまり、やせ体型だからといって必ずしも生活習慣病になりにくいわけではなく、むしろややぽっちゃり寄りの体型の方が生活習慣病になりにくいことがわかるのです。

最も長生きするBMIは?

では、将来的に長生きできる方のBMIはどれくらいなのでしょうか?
40~59歳の男女4万人を10年間にわたって追跡した調査によれば、BMIが23~24.5の方が最も死亡率が低いことが分かりました。逆にBMI14~18.9のやせ体型の方の死亡率は23~24.5の方に比べて1.94倍高いという調査結果も出ています。一方、BMI30以上の方の死亡率は1.91倍。やせ体型の方が死亡率は高いとのことです。(※2)
このような結果からも、ぽっちゃりさんが必ずしも長生きできないわけではないと言えるのです。

ぽっちゃりさんはがんになりにくい?

では、日本人の死因第一を独走している「がん」の発症率と体型の関係はどうでしょうか?がんを発症する要因には加齢や肥満を含めた生活習慣病も大きく関与していることが知られています。肥満の人ほど、がんになりやすいというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
肥満度とがんの発症率について調査した40~69歳の男女9万人に対するアンケートでは、調査対象となった9万人のうち、10年間でがんになった方は約5,000人。肥満度と発症率の関係を見ると、男性の場合はBMI21~29の方の発症率はほぼ同一で、BMI19未満と30以上の方は発症率が上昇することが分かりました。一方、女性はがんの発症率と肥満度に関連はないとのことです。(※3)
現在、日本人の3人に1人はがんで亡くなっています。ぽっちゃりさんだからとってがんになりやすいわけではありませんので、「ぽっちゃりさん=早死にしやすい」ということは言えないのです。

無理なダイエットが健康に害を及ぼすことも…

無理なダイエットが健康に害を及ぼすことも…

このように、様々な調査や研究から、BMIの値がややぽっちゃりの方はやせ体型の方よりも病気になりにくく、長生きしやすいことがわかりました。
しかしながら、日本人の女性は「痩せ」に対する憧れが強いのも事実。厚生労働省による「平成 29 年 国民健康・栄養調査」によれば、BMIが18.5未満のやせ体型の女性は20代で約22%、30代では約13%、40代では約11%であるとのことです。特に若い世代にやせ体型の方が多いことがわかります。

無理な食事制限をすると…

若い世代の女性はとにかく無理な食事制限によるダイエットをする方が多い傾向にあります。確かに、食事量を減らすことは減量につながります。しかし、若い時期に偏った食生活を続けていると鉄分不足による貧血、糖分不足による活力低下などを引き起こすことに…。将来的にはカルシウム不足による骨粗鬆症などに悩まされる可能性もあります。
また、エネルギーが不足することで、ダルさや疲れやすさを感じやすくなるため、抑うつ気分や無気力など精神的な影響を引き起こすことも少なくありません。

深刻な病気になることも…

無理な食事制限を続けていると、生理不順や無月経が起こすこともあります。一度月経周期に異常が生じると中々元の健康な状態に戻すのは大変。将来的に不妊につながってしまうことも…。
また、極端な「やせ願望」が芽生えると神経性食思不振症(拒食症)などの摂食障害に陥ってしまうケースも多々あります。

過激なダイエットは控えて!

ぽっちゃりは身体に悪いから…と無理なダイエットを繰り返している方はいませんか?確かに肥満は様々な病気のリスクになりえます。しかし、現在ではやせ体型の方よりもぽっちゃり体型の方の方が病気になりにくく、長生きしやすいことが分かっています。
極端な食事制限をすると健康に思わぬ害を及ぼすこともありますので、ダイエットを試みるときは「ぽっちゃりは健康に悪いわけではない!」ことを念頭に置き、無理のない範囲でゆっくり進めていくようにしましょう。

参考サイト

(※1) Tokunaga K,et al.ldeal body weight estimated from the body mass index with the lowest morbidity.lnt J Obes. 1991;15(1):1-5.

(※2) Tsugane S,et al.Under- and overweight impact on mortality among middle-aged Japanese men and women: a 10-y follow-up of JPHC study cohort I.Int J Obes Relat Metab Disord. 2002;26(4):529-37.

(※3)国立がん研究センター予防研究グループ「肥満度(BMI)とがん全体の発生率との関係について」

こちらの記事もオススメ

お悩み相談】妊娠線のような肉割れ、どうしたらいいの?>>
蒸れやすい夏場の生理…。快適なブルーデイの過ごし方とは?>>
汗かきさんに知ってほしい、汗の匂いの秘密とあせも対策>>

摂食障害を克服したぽっちゃりモデルに聞く「摂食障害との向き合い方」>>

記事が気に入ったら 記事が気に入ったら

成田 亜希子

成田 亜希子

弘前大学医学部卒。大学卒業後、育児を経て一般内科医として勤務。公衆衛生分野にも携わり、感染症対策や健康づくりにも従事。国立医療科学院や結核研究所での研修も積んでいる。 主な所属先:日本感染症学会、日本内科学会、日本公衆衛生学会