着やせもかなう! ぽっちゃりさんの浴衣(ゆかた)の着方・選び方・注意点 帯の結び方、簡単着付け(着方)、ヘアセット

着やせもかなう! ぽっちゃりさんの浴衣の着方・選び方・注意点

浴衣は浴衣であって、「夏用の『着物』」ではありません。浴衣は江戸時代にはバスローブがわりに着られていたものが後に外にも着て行かれるようになったもので、元々とてもカジュアルなシーンで着られていたのです。現代でもそのドレスコードは変わりません。高級なレストランやホテルのロビーなどに立ち入るものではありませんが、お祭や花火大会にはうってつけです。

ビアガーデンやテラスのある気軽なイタリアンレストランなどで、涼しげに浴衣で過ごすのもカッコいいですね。
着て行く場所や時間帯を考え、おとなの楽しみ方をして下さい。

ぽっちゃりさんにおすすめの浴衣

紺地の麻混浴衣・博多半巾帯(はんはばおび)

ぽっちゃりさんにおすすめの浴衣の着方・着こなし方

一般的には、ぽっちゃりさん・大柄な方には、柄のない無地の部分(地あき)が多く、柄の大きさも小ぶりなものが向くと言われています。また、色も暖色系より寒色系のほうがひきしまって見えるとも。

ですが、ふくよかな女性が大胆な色使いや大柄のドレスなどを素敵にお召しになっているところなどを見ると、一概にそうも言えない気がします。また、ご自分が好きだ、似合う、と思う色や柄を着るのが、本人も落ち着き、気後れすることなくおしゃれが楽しめるのではないかと思います。

今はカラフルな浴衣がたくさんありますが、元々浴衣は藍染が主流で、紺地に白抜きの模様か、白地に紺色の模様が基本でした。今でも大人の女性には、このコンビネーションをおすすめしています。

マイナス3キロやせ見え浴衣の着付け方

お気に入りの浴衣で体型をカバーしつつ、気になる所を逆にチャームポイントにし、すっきりと浴衣を着こなして出かけたいというのは、誰でも願うところでしょう。
いくつかの点を注意すれば、すっきりとした浴衣の着付けに近づくことができます。
題して「マイナス3キロやせ見え着付け」です。

マイナス3キロやせ見え着付け ぽっちゃりさんにオススメの浴衣の着こなし方

右と左、どちらも同じ浴衣・帯を同じボディに着付けています。
どちらがすっきりとスマートに見えるでしょうか?おそらくほとんどの方が「右」と答えることでしょう。

右と左、違いを次に考えていきましょう。

① 衣紋(えもん)の抜きの具合

① 衣紋(えもん)の抜きの具合 ぽっちゃりさんにオススメの浴衣の着こなし方

衣紋(えもん)とは首の後ろの部分です。女性の場合、浴衣も着物も衣紋を抜いて着付けます。
洋服と違い、直線裁ちで仕立てられている和服は、襟の部分、首の後ろの裁ち方には少しカーブが付いています。つまりその部分だけは身体にぴったりとはくっつかない構造になっています。これを無理やり首にくっつけて着ると全体に無理なシワができすっきりと着ることができません。女性の場合、首の後ろと浴衣の襟との間に指三本くらいが入る隙間が空くように着付けます。

この抜き加減を、ぽっちゃりさんは少し工夫します。
体型にもよりますし、あまり抜きすぎもかえって暑苦しさを感じさせるので加減が必要ですが、身体のボリュームに合わせ、少し抜き気味に着るとゆったりとした大人の女性の魅力を発揮することができます
ただし、これは女性のみ。男性は年齢に関係なく首にぴったりと、つまり衣紋を抜かないで着付けます。

② 帯の位置

帯の位置 ぽっちゃりさんにオススメの浴衣の着こなし方

右は帯の上あたりがゆったりとした感じがしませんか?
理由は帯の位置です。
左の帯は直線的、右の帯はカーブを描いて帯の後ろ側が高い位置に締められています。

帯の後ろ側が高い位置に締められている ぽっちゃりさんにオススメの浴衣の着こなし方

右の着付けは、帯の前側は下がり、帯の後ろ側は反対に上がるように着付けています。
前から見ると胸元はゆったりと、そして後ろはお尻の位置が高いと錯覚し足長さんに見えます。決して帯の位置全体を下げているわけではありません。

それではどうすればできるかということですが、正直なところ、この帯の位置だけを習いに着付け教室に通っても決して損はないほどの難しさ。
しかし、どうしてもこの技を試してみたい!という方は次のようにしてみましょう。
浴衣に半巾帯(はんはばおび)を着付ける場合、大抵の方は前で帯を結んでから後ろに回す、という方法をとります。
その際に床と並行に回さず、この写真の帯位置をイメージしながら、帯を傾けて角度をつけるように後ろを高く、前を低くなるように回してみましょう。それだけでもかなり違いが出ます。

③ 裾の合わせ方

裾の合わせ方 ぽっちゃりさんにオススメの浴衣の着こなし方

後ろ姿を見ると、浴衣が裾に向かってすぼまった「裾つぼまり」の形に着付けられているのがわかりますか。足に向かってスッとした印象になり、全体的にもしまって見えます
これは女性のみが使えるテクニックです。

男性はむしろ「裾つぼまり」にならないように、四角い形をイメージして着付けます。そのほうが男らしく仕上がります。裾がすぼまらないように足を肩幅くらい開いて立ち、着付けをすると良いでしょう。

女性の「裾つぼまり」も、なかなかこちらで説明するのは難しいものですが次のようにイメージしてやってみましょう。
着物、浴衣の襟の下の部分を襟下(えりした)といいますが、この襟下と裾が出会った部分を褄先(つまさき)といいます。

褄先(つまさき) ぽっちゃりさんにオススメの浴衣の着こなし方

下前(ご自分の右側が下になります)をご自分の身体の左側に向かって裾と床と平行になるようまっすぐ合わせて行き、最後に身体に沿って少し引き上げていきます。前述の褄先の部分が浴衣の場合床から10cmほど上がるようにします。
その時、下前の形を見て頂くと床とずっと平行ではなく身体の左側では褄先が上がり、
身体の右側ではわき線がぴったりと身体に沿うようになってるはずです。
上前(ご自分の左側が上前です)は下前ほど上げる必要はありませんが、同様にまずは床と平行にまっすぐ合わせ、最後に褄先を5cmほど上げておきましょう。

この形ができれば、「裾つぼまり」に着付けることができるでしょう。こちらもやりすぎは厳禁。裾がすぼまりすぎて歩きにくくなります。

④ 適正な下着をつけ補正をする

適正な下着をつけ補正をする

みなさんは、浴衣の下に何を着ていますか?
通常浴衣の下にはブラジャー、ショーツをつけた上に、肌襦袢(はだじゅばん)と裾除け(すそよけ)をつけます。「ブラジャーとショーツだけ」というのはやめましょう。
肌襦袢は左の写真の上衣、裾よけは腰に巻かれているものです。二つはくっついてはいません、別々のものです。
和装スリップといって洋装の時のスリップのような形をしているものもありますが、丈が短くおすすめしていません。

和装用に作られた下着は和装に馴染みます。
和装用のブラジャーをつけたほうが身体の線が出にくく理想的ですが、普通のブラジャーをする時はワイヤーの入っていないものにしましょう。もちろんショーツはお好きなものでかまいません。
ぽっちゃりを気にしてガードルなどをつける人がいますが、これはおすすめできません。

暑いのに下着なんか着たくない、という方がいますが、実はこれは逆で、下着を着ることで汗が吸われ、浴衣や帯までひびきません。また、白地などの浴衣ではこの肌襦袢・裾除けをしないで着ると、ブラジャーやショーツなどの下着が透けてみえてしまうこともあります。
女性の汗っかきさんはステテコを穿くと下半身の汗が少し気にならなくなります。
ただし、ステテコを穿く場合でもその上から裾除けを付けましょう。歩いた時に足がニョキっと出ないですみます。

そしてぽっちゃりさんほどしていただきたいのが補正です。
私は必要ないわ、と思っている方は上の写真を見比べてみましょう。
右側は補正をしています。左側は補正をしていません。

前述の衣紋のところでも述べましたが、和服は直線で成り立っています。
それをまあるい身体に着付けていくためには身体の凸凹をなくすようにしたほうが着付けもしやすく、また、無理のない形で収まっていることから着崩れもしにくく、帯の収まりも良いためすっきりと見えます。
また汗取りの役目もしますから、浴衣や帯を汗から守ることができて、一石二鳥、どころか三鳥も四鳥も。

補正は晒(さらし)やタオルを使って簡単に作れ洗濯もできます。
ウエストのちょうど腰紐がかかるあたりに巻きましょう。

浴衣を「涼し気」に着るには?

技術的なお話が続いたので、次は浴衣選びの一般的な注意を述べてみます。
浴衣をカッコよく着こなす大きなポイントは「涼し気」がキーワードです。
「ご自分が涼しい」ことも大切ですが、見ている人にも涼しさをおすそ分けしてあげたいものです。

「涼し気」のためのポイントは、上記の下着をつけること以外に以下があります。

① 涼しい素材選び
② 着つける前の汗対策
③ 見た目の涼しさ

① 涼しい素材選び

浴衣の素材としておすすめは「綿コーマ」です。

綿コーマ ぽっちゃりさんにオススメの浴衣の着こなし方

これはいわゆる綿でできた浴衣ですが、やや厚手のしっかりした生地。人によっては、「硬いな」と思うかもしれません。しかし、着物と違い一般的に長襦袢をつけずに着る浴衣の場合、ある程度しっかりした生地を選ぶほうが無難です。パリッと糊を効かせて着る綿コーマの浴衣は、もしかしたら着ている人よりも見る人のほうが涼しさを感じるかもしれませんが、やはり昔ながらの浴衣は良いものです。最近ではこの綿コーマの浴衣を着ている人は少なくなりました。

昔ながらの綿コーマの浴衣は反物で売られていることが多く、自分の寸法で仕立てて着ます。その分値が張りますが、40代になったら一度は自分の寸法で仕立てた浴衣を着る贅沢をしましょう。

近年は、綿に麻混の浴衣や浴衣地を見ることがあります。こちらは麻が入っている分涼しく綿100パーセントのものより軽いのが特徴です。

綿コーマ(白) ぽっちゃりさんにオススメの浴衣の着こなし方

現代の夏の暑さにはマッチしていると思いますが、生地が薄い分、私などは着ていて心もとない気持ちがすることがあります。薄手の浴衣を着る時はなお一層、肌襦袢・裾除けにも気を配り、補正も忘れないようにしないと身体の線が出過ぎてだらしなく見えてします。

ポリエステルの浴衣も近年見るようになってきました。自宅で洗えシワにもなりにくくメリットはありますが、暑いという意見もあるようです。

② 汗ばむ季節の汗対策

汗対策として肌襦袢・裾除け・補正を付けることをお伝えしましたが、着付ける際にも工夫ができます。
着付ける前にシャワー を浴びて汗を流しておくことができれば一番良いのですが、なかなかそうもいきません。その場合は手・腕を洗う、首筋の汗を拭く、おしぼり・市販汗取りシート(パウダー)を使うなどでかなりの対策になることがあります。

また、時間の余裕を持って行動すればバタバタして余計な汗をかかずにすみます。
着付けに時間がかかるならば、ぜひその分も計算にいれておきましょう。

着てからたとえ10分でも、涼しい所で汗が引くのを待ってから出かけましょう。
着付けはもちろん涼しい場所で優雅におこなうと汗はかきにくくなります。

③ 見た目の涼しさ

見た目の涼しさ ぽっちゃりさんにオススメの浴衣の着こなし方

だらしなく着る、盛りすぎのヘアー・髪飾り・厚化粧はNGです。
着付けの技術編でも述べましたが、端正なすっきりとした着付けは涼を感じさせます
だらしなく着付けたり、必要以上に襟元、胸元を開けて着付けるのもかえって暑苦しく感じさせます。

これは
「暑いからあんなにえり開けてるんだな」
「暑くてくたびれてグズグズの着方になったんだな」
という感覚が暑さを思い出させ、実際に暑いと感じさせてしまうからなのですが、これではせっかく涼を求めて浴衣を着ているのに残念ですね。

また、暑いからと扇子や団扇でせわしなく扇ぐのも、周りに不快感を与えてしまうことがあるので、こちらも注意しましょう。

近年では帯飾りと称して帯にレースを付けたり、何か余計なものを巻いてみたりしておしゃれをしているつもりの方を見かけるようになりました。張り切りたい気持ちはわかりますが、元々着物や浴衣は「引き算の美」。特に涼をもとめて着るのが浴衣ですから、大人の女性は浴衣と帯とで勝負して下さい。

きものと同様襟元の美しさを際立たせるようなアップスタイルは女性の浴衣姿を引き立たせますが、盛り過ぎ、やり過ぎは逆効果です。髪飾りをつけたいかもしれませんが、大きさや素材に注意しましょう。身体とのバランスを考えたり、お洋服だったらどうだろう、と考えてみると良いですよ。

同様にお化粧も張り切りすぎないように。浴衣だからと言って特別なお化粧をする必要はなく普段通りで良いのです。かと言ってあまりしなさ過ぎでも浴衣のボリュームに負けてしまい、地味過ぎたり年齢よりも老けて見えたりして損かもしれません。

下駄の選び方

下駄選びの相談をよく受けます。
浴衣によっては足袋を履き夏用の草履を履いても良いのですし、写真(本藍染浴衣・麻八寸帯)のように普通の浴衣に足袋を履いて下駄、でも良いのです。しかし、ほとんどの方は浴衣というと素足に下駄、でしょう。
下駄は靴と違って履き慣らすことにより柔らかくなったりはしませんが、履くことによってある程度慣れることはできます。

また、下駄が履きにくい原因の一つに鼻緒のすげ方(高さや締め方)があっていないことがあげられます。
鼻緒は緩くてもキツくても歩きにくく辛いものです。
また、一口に下駄と言ってもいろいろな種類があるのをご存知ですか。自分のイメージにあった足の痛くならない下駄を選ぶコツはズバリ、専門店に行って相談することです。
専門店で用途にあった下駄を選び、鼻緒も自分の足に合わせてすげてもらえば、足が痛くなることもありません。足さばきが上手くいけば浴衣姿も引き立ちます。
ぜひ足にぴったりあったステキな下駄を選びましょう。

浴衣で歩きやすくするためには、とっておき「股割り」術

最後にとっておきの「股割り」術をこっそりお教えします。
よく街でせっかく綺麗に浴衣を着ているのにちょこちょこペンギンのように歩いている人を見かけます。
着付けが悪い、履き物が足にあっていないなどの理由もありますが、
浴衣に限って言えば、
素材が基本綿でいくら裾除けをキチンと付けていても滑りが悪く歩きにくい、ということが言えます。

これを解決するために着付けの最後に忘れずに「股割り」をしておきます。
足を少し開いて立ち、膝を開く感じで軽くスクワットをしてみましょう。足にまとわりついていた裾除け・浴衣の裾を広げるつもりで。終わったら足を元に戻してみましょう。
こうしておけば歩きにくさは解消されます。浴衣だからと言って極端に小股で歩く必要はありません。姿勢を正し、自信を持って歩いて下さい。ちゃんと着付けができていれば股割りをしても崩れる事はありません。

おわりに

少し難しいとお感じになるかもしれません。
きものが当たり前に生活の一部であった時代は、親や兄弟姉妹からこのようなことを教わっていました。そして教わったことは自然に次の世代に伝えられていきました。今はなかなかそのような時代ではなくなってしまいましたが、そのためにきもの専門家や着付け講師がいます。浴衣なんか簡単に着られる、と思うかもしれませんが、ここまで読んで疑問や感想のある方はぜひ一度専門家にたずねてみて下さい。

たかが浴衣、されど浴衣。きっと貴女の浴衣姿がワンランクアップすることでしょう。

ニッセンの浴衣はこちら>>
Alinomaの浴衣はこちら>>

記事が気に入ったら 記事が気に入ったら

関連記事

田村 祐子

田村 祐子

小さいときからきものに親しんできました。きもの好きが高じて着付け講師に。 「マイナス3キロやせみえ着付け」は生徒さんの命名。夏は通常のお稽古のほか、浴衣や半幅帯の ワークショップ、浴衣の特別速習クラスなども開設。